他人の話を聞けない子
今それを聞く!?
このところ「何故だろうなぁ」思うことがいろいろあります。
いろいろある中で、気になることを取り上げてみます。
最も気になっていることと言えば、
授業をやっていても、人の話を聞かない子が目立って増えてきていることでしょうか。
その子が授業を無視して好き勝手な事をやっているわけではありません。
むしろ受講態度は良いですし、成績も悪くはないのです。
でも、さっき、ついさっき、
私が解説したことを
まるで話を聞いていなかったように
「どうしてその答えになるんですか?」って
真顔で質問をしてくるのです。
私「えっ・・・」、何をたずねられてるのか一瞬解りませんでした。
私「今説明したでしょ」・・・と、ひとまず応答するしか能がありません。
そうなのです、「まるで聞いていなかったように」
ではなくて、「全く聞いていなかった」のです。
こんな子が増え、この問答が頻繁に起こるようになりました。
進研の教室長の会合や、他塾の先生との会合でもしばしば話題になります。
授業をしていて、原因らしいことが2つあるように思います。
①子どもたちは板書を記録することに夢中!
そりゃあ確かに私の板書は高く売れる・・・ウソですが・・・
少なくとも大学受験まで使ってくれる子がいるぐらいだから
役に立つのかもしれません
だからというわけではありませんが、
それはそれはもう、きれいなノート作りに励む子も出てきてもおかしくありません。
彼らの筆箱を見てみるとそれがよくわかります。
いったい何本入っているんだ?と思うパンパンの筆箱に
何色ものボールペンがすし詰め状態なわけです。見たことありますでしょ?
で、結果としてノートを綺麗にとることに意識が集中してしまって
話を聞くことがおろそかになっているな、と思うのです。
《ポイント》
板書は雑に写し取って、家に帰って清書しましょう。
清書する中で、得た知識を整理できることはもちろんですが、
理解が不足している事柄も洗い出されてきますので
最も効率的な復習の方法です。
ということは散々教えてはいるのですが、
家に帰って清書をするなどという面倒くさいことはしたくないのでしょうね。
で結局、ていねいできれいな書写のように取った板書ノートに満足して終わりにしてしまっているのですね。
お母様方が見ても、「ちゃんと勉強しているようね」と納得のノートに仕上がっているからたちが悪いわけです。
②ただいま問題集と格闘中!
問題演習をやらせると、生真面目な子ほど、先に進みません。
解き終わらないと解説を聞く意味がないと思ってしまっているのでしょうか。
ある程度ざっくばらんに進められる子のほうが人の話を聞いています。
時間をかけるのも限度というものがあって、早く処理するのも大切な実力のはずです。
プライドの高い子も人の話が聞けません。
今解いている問題が解けないこと自体が悔しいと思ってしまうのです。
せっかく学んだ考え方を使わずに、1つ1つを力技で組み立てて正解を得ようという暴挙に出ます。
こうなってくると、講師の解説自体が邪魔になるわけで、進歩がありません。
《ポイント》
要するに、問題が解けるまで夢中になって格闘してしまうわけです。
そもそもが解き方に問題があるから時間がかかっていることが多いわけですから、
解説を聞いてから2問目にチャレンジしたほうがよいのにと思うわけです。
仮に時間をかけて解いたとしても、たいていの場合、自己流なので
勉強していることにはなりませんね。それは自己満足というもの。
「勉強する姿勢」というのは、こういうことを意味します。
自分の間違いを大切にして、「問題点を解決するアイテム」として捉えられるかどうか。
ここが成績向上のポイントだと思うのです。
とにかく最近、こんな子が増えてきています。
たいていの場合、「自分は勉強している」と思ってしまっていることに危機感を感じます。
このままにしておいたら、結果が出るまでに入試は終わってしまうでしょう。
【まとめ】
じゃぁ、どうしてこんな子が増えているのでしょうか。
たぶん、
「人の話を聞いて学ぶ」ということができていない、というか知らないのだろうと思うのです。
学校の学習環境を問題にすると、話が大きくなってしまうので今回は触れないでおきますが、
ただ、学校の学習環境には集中して人の話を聞く環境の提供は無理なのかもしれません。
色んなお子さんがいますからね。
ですから、今回は子どもたち自身の問題にフォーカスしてみます。
子どもたちにとって勉強とは、問題集を解いて答え合わせをして終わり・・・だと思っているのかもしれません。
だいぶ前から、答えだけを要求してくる子も増えてきていますから、当然と言えば当然のことです。
解法の過程なんかどうでもいいから、答えを聞きたがるのです。(間違いを財産にできない子どもの増加)
子どもたちの学ぶ方法が、暗記中心になってきているからだろうと思うのです。
例えば、定期テストを取り上げると、とにかくテスト2週間前に2か月分をまとめて勉強すれば、
テストの成績は納得した点をとることはできます。
だから、定期テスト対策講座と称して、詰め込む風潮が塾にもあることは否めません。
さらに悪いことに、この方法が集客の1つの方法として出来あがってしまっているのです。
子どもたちにとって、重大なのは目の前にある定期テストでいい点数をとることと指導され、
普段、部活に忙しいので、直前に暗記できるだけ暗記してしまえば
テストの点数をまとめることはできますから、この方法に頼ってしまいたくなるのは当然かもしれません。
すると、解法の途中の過程なんかどうでもよくなるでしょ?
「答えさえ分かればいいんだよ。後は覚えちゃうから」と思っても仕方のないことですね。
だから私は「コツコツ勉強する」ことを子供たちに要求し続けているわけです。
いずれ入試が待っているんです。
入試を定期試験のノリで勉強する子もちらほら見受けられます。
冬期講習を目前にする頃からバタバタと勉強し始める中3生もいます。
「なんだかな…」 と思わざるをえません。
入試はさすがにそんな方法で結果が出せるほど甘くはありませんからね。
(written by 沼南教室長 村田)