ノートは売れる

かつて私が大学一年生のころ、定期テスト前に大学構内の廊下や広場でテスト範囲を網羅したノートを売っている奴がいてびっくりしたことを今でも覚えています。

私は買いませんでしたが、結構な売れ行きで、1冊500円で売っていましたから、結構な売り上げになったんだろうなと、感心したものです。

で、こいつの成績はというと、案の定、悪くはないんです。

ていうか、むしろかなり良かったので、印象に残っているわけですが、今回は「ノート」という武器を使って彼がどうして成績が良かったかを考えてみましょう・・・あっ、間違えないように! べつに「ノート」を売りまくりなさい、といっているわけではありませんから・・・!

この「ノート」というのは、もうお分かりかと思いますが、半年間の授業の板書や先生の言っていることをメモして整理したノートなのです。ですから、先生の授業の集大成的なもので、半年間授業をさぼったやつらが争って買い求めていました。

私の提案は、こういう「ノート」を作りましょう、ということなのです。最近、「東大生のノート」とかいう参考書が売られていますが、買うことはありません。自分で作れるものですから自分で作りましょう!

では、さっそくノートの作り方をお話ししましょう。

ノートは無駄なスキマを作って書く

無駄なんて、今のご時世何を言っているんだ!と思いませんか? でもこの〝無駄〟が大切なんですよ!

「ノートを作りましょう」と言っておきながら何なんですが、あなたは“手書きのノート”

の欠点は何だと思いますか? 人それぞれだと思うんですが個人的に思うのは、ワープロの文章のように後からいろいろ挿入ができないことがノートの最大の欠点ではないかと思うのですが、どうでしょう?

しっかり詰めて書いてあるノートに後から書き込むとごちゃごちゃで見づらくなりますね? 何を言っているのかというと、ノートを売りまくった彼は、スキマだらけのノートをとっていました。どうもそこにノート作りの秘訣があるようです。

ノートを成長させる

「成長!って?」と思うかもしれませんが、ノートは確かに成長するんです。彼はよく言っていました。

「このノートはまだ成長段階だ、これから大人に育てなければ!」と。

何をするのかと聞いてみると、彼はノートの横に教科書や辞典を置いて何やらやり始めました。

彼はスキマだらけのノートに色々と書き込み始めました。黒板に書かれた内容に注釈や関連する情報、黒板に書かれなかった先生の言葉なんかを上手に書き足します。その書き足し方がうまいんです。矢印や吹き出しはあたり前ですが、挿絵の利用が素晴らしくて、先生の文字だらけの板書を移し書いているだけではない読みやすさ、見やすさがありました。

特に面白かったのは、「ここ大事君」なるキャラがいて大事君の簡単なイラストが、腕を組んでいたり笑っていたり、要点と思われる箇所に登場していました。

今は要点にマークを付けている参考書があたりまえですが、あの当時(30年以上前です。年齢がばれてしまいますが・・・)読者のことなんか気にもしてくれない不親切な参考書が普通だった中で、誰が見ても楽しく分かりやすい参考書を先生のノートをベースに完成(彼いわく成長)させてしまった、ということですね。

僕らのノート(真面目に写しているはずなんですが・・・)は恥ずかしい限りのノートでした。彼の完成品ノートは見やすいし分かりやすいので、頭にスイスイ入ってくるんですよ! 一言で言ってしまえば、先生の授業以上の内容のノートを作っちゃってたんですね。そりゃ売れますよ。(4年後、彼がコピーメーカーに就職したってオチはないんですけどね)

ノートは未来の自分のためにとる

ノートは何のためにとるのか?と問いかけると、「書けと言われているから」「提出があるから」「写すと勉強になるから」。それが義務だから「何となく・・・」的な子も多いと思います。そういう子たちは勉強するとき、自分で書いたノートであるにもかかわらず、「ノートに何が書いてあるのかわからないから」といった具合で、結局、教科書や、参考書を利用することになってしまうケースが多いようですね。

沢山の時間を費やして書いたノートは何のためだったんだろう? ノートは後から見直すためにあります。ノートで勉強できるんです。分かり易く書いたノートは、作った日から時を経た未来にしっかり理解を繋ぎます。

見直さないノートに意味はない!
さらに、見直してもわからないノートにはもっと意味がない

あなたも、見返したくなる、分かり易い、かゆいところに手が届くノートを作ってみませんか。ちなみにノート売りの彼は、ノート見返さなくても良い点が取れたんだそうです。

彼が言うには、「ノートを育ててるうちに全部覚えちゃったから」だそうです。

そりゃ、何冊も同じノートを手書きでコピーしていれば、いやでも覚えてしまいますね。

【ノートづくりのおさらい】

  1. 授業でとるノートは雑記のようなノートで十分・・・ きれいなノートを作ろうとしないこと!
  2. 丁寧に、きれいに書こうとする意識を授業に向けましょう
  3. 家に帰って、ノートの清書をしましょう・・・2度目の授業を受けることになります
  4. ホワイトスペースを無駄だと思わないこと! むしろ無駄なスペースが重要!
  5. その他いろいろ! あとは進研の授業を通して一生モノのノートを作りましょう

(written by 栗ヶ沢青葉台教室長 椎名)